Official Staff
お花に触れば触るほど上手くなる。だから、いまは山の頂を目指して登るのが楽しい - はたらくひと Vol.4 フラワーディレクター
「わたしは、いつも素手。このほうが花の感覚がつかみやすいんですよね」
腰にシザーケースを下げたフラワーディレクターの古屋さん。動きが颯爽としている。
社内で「手袋を着用する人」としない人の割合は半々くらいらしい。「手が荒れる人もいるので」と答えつつ、素手で菊を折り、スッと挿す。作業場を案内していただいた上司の小鎚さんが、背後から補足説明していただいた。
「菊は手で折ってスジをだしたほうが水揚げがいいというのもあって、手折りでないとダメだと言われたりしています。ただ、バラやカーネーションは手で折ると水を吸い上げる道管を潰してしまいます。なのでハサミなどを使って水揚げをします」
小鎚さんが見...
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僕にとって大事なのは、お客さんがハッピーになること - はたらくひと Vol.3 散骨コーディネーター
「困っている人がいたら、一緒に困ってあげなさい」
子供のころの祖母の口癖が仕事に限らず、生きていく上での指針になっているという桑原さん。堅実というか、どうも一見「チャラい若者」に映るのも狙いのひとつらしい。
2019年、師走。平日のお昼すぎ、東京都中央区晴海の小型船乗り場に着いた。
これから「海洋散骨体験クルーズ」に参加するのだが、わたしは三半規管が弱く船酔いが心配でならない。迷惑をかけちゃいけない。おもえば不安が増してくる。帰ろうか……。「黎明橋」を渡る間、何度ユーターンしたくなったことか。「海洋散骨を取材しませんか?」編集者Tさんから聞かれた際、小型船だというのを失念していた。とほほ...
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家族が違えば式の仕方もみんな違う。テーマがあって、そこから始まる。- はたらくひと Vol.2 エンディングプランナー
「なります。めちゃくちゃ、やる気になります(笑)」
小柄で童顔。入社4年目の高山さんは、葬儀の仕事といえば年配男性が主導するとの先入観からしばしば「あなたで大丈夫?」という目で見られる。そのときに燃えるのだという。
式場に到着すると黒のパンツスーツ姿の高山さんはまず祭壇を撮影、社内共有のチャットにあげる。告別式の現場は会社に寄らず「直行」、そのため写真を「共有」した時間が始業となる。
故人と家族との「最後の時間」を司るのが高山さんの仕事だ。名刺の肩書きは「葬祭事業部 エンディングプランナー」。
開式の1時間半前に会場に到着し、支度を整えご家族を待つのが決まりだが「2時間前に」をこころがけ...
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わたしは、お顔を見て、やすらかに、やすらかにと思うだけで、ほかのことは考えない - はたらくひと Vol.1 エンバーマー
「平凡な人生」の転機は「手に職をつけたい」と思ったからだという。エンバーマー認定番号0148。高校生のとき、母の葬儀で「湯かん」を目にした。不慮の事故。化粧で顔立ちがもどっていくことをただ見ていた。
「ほんとうに、わたしでいいんですか?」
笑顔で何度もそう言われた。自分にはドラマチックな出来事はひとつもないという。ポートレイト撮影のときに、自然に背筋がのびる。小学生の頃からバトントワリングをやっていたからだろうか。「さすがですね」とカメラマンが呼びかける。
「でも、油断をするとこうなります」と一瞬猫のように背をまるめ、すぐに姿勢をもどし「そこは意識しています」と口角があがる。
「エンバー...