画像: ライフアンドデザイン・グループ株式会社 経営管理本部 人事総務チーム リーダー 堀江陽子

ライフアンドデザイン・グループ株式会社 経営管理本部 人事総務チーム リーダー 堀江陽子

葬儀社は365日24時間休みがない。人が亡くなったとき、すぐお迎えに行けるよう夜間休日の待機当番が設けられている。

この待ち時間も、法律上の「労働時間」に含まれ、残業とみなされることはご存知だろうか。そうなると、社員の残業時間は大幅に増え、働き方改革で求められる上限45時間を守れないし、採用にも影響が出かねない。

神奈川こすもすでは、この問題をどのように解決したのか。親会社であるライフアンドデザイン・グループで子会社各社の人事労務を統括する堀江に話を聞いた。

夜の搬送当番。
待っている時間も「労働」に含まれる?

宿直当番は、待機の場所が自宅であろうが、会社であろうが、夜間の搬送発生に備えるために時間と居場所を拘束されているという点では通常の労働と変わりません。一方、搬送業務が発生しないときは、本を読んでいても、仮眠を取っても自由ということになっているのが一般的です。

とすれば、待機時間を「労働」と呼ぶのは少し大げさな気もします。実際、これまで多くの葬儀社では、遺体搬送が発生したときだけ賃金が支払われるところも多かったようです。

しかし、同じく待ち時間の長い守衛業務について裁判で争われた際、最高裁は「労働時間からの解放が保障されていない場合には労基法上の労働時間にあたる」(大星ビル管理事件)と判断しました。

となると、労働時間から解放されていない宿直は「残業」としてカウントし、割増賃金を支払う必要が出てきます。

時間外労働の上限規制を
守れないと罰則を受ける?!

宿直の待機時間が残業に含まれることになると、1件も遺体搬送業務がなくても待機した時間分の割増賃金を払う必要があります。仮に、それを支払わずにいた場合、会社は従業員から突然過去2年分の残業代請求を受けてしまうリスクも出てきます。

また、2020年4月以降は、国が推進している「働き方改革」の時間外労働の上限規制により、残業は原則として月45時間・年360時間までとされ、特別の事情がなければ、これを超えてはいけないとされました。
※中小企業のみ。大企業は2019年4月から

加えて、これまでは法律上、残業時間の上限がなかったため、過剰な残業を強いたとしても行政指導を受けるだけだったのが、今後は法定上限を超えて残業させると企業が罰則を受けることになります。

詳しくは、厚生労働省 働き方改革特設サイトにわかりやすい説明がありますので読んでみてくださいね。

法改正後における労働時間の考え方のポイント

厚生労働省 働き方改革特設サイトより
www.mhlw.go.jp

神奈川こすもすが取った解決策は?

宿直待機の時間が残業としてカウントされるという状況は、神奈川こすもすにとっても悩みのタネでした。

なんとかして、この課題を解決できないかと対処法を模索し、葬儀社の宿直業務は労働基準法41条3号の「監視又は断続的労働に従事する者」に当たるのではないかと考えたのです。

「監視又は断続的労働」とは、簡単に言うと、待ち時間が大部分を占めていて、かつ、待っている間の身体的・精神的な負担が軽いような業務のことで、労働基準監督署(以下、労基署)から許可が得られれば、労働時間・休憩の規定適用が除外されます。

つまり、労基署の許可があれば時間外労働や深夜労働に該当しないので、その分の割増賃金は不要になるし、残業時間としてカウントする必要もないのです。さっそく、労基署とも相談しながら、申請してみることにしました。

まず、許可を得るための前提として、以下の項目を充たしていなければなりません。

宿日直勤務による「断続的労働」の許可基準

① 常態としてほとんど労働をする必要のない勤務であること
② 宿日直手当として、宿直勤務に就く職種の1人1日平均賃金の3分の1以上を支給すること
③ 宿直は週1回までとすること
④ 宿直勤務をさせる場合は、相応の睡眠設備を準備すること

次に、許可をスムーズに得るためには、これらの要件を充たしていることをできるだけ具体的に説明できる資料を添付する必要があります。例えば・・・

①の「常態としてほとんど労働する必要がない」ということを示すために、過去1年間の実績のうち、宿直当番が対応した搬送などの件数や、作業内容、平均的な所要時間が分かる資料を出す、

②の宿直手当についてなら、賃金規程と実際に支払った金額の証左などを準備する、

③は、当番は週1回までしか割り当てていないことが分かる、社員の勤務記録を提示する、

④の宿泊設備は、実際の休憩室の写真や間取り図などを準備する、といったようなことです。

これらの資料を出した上で、日中に、労基署の方が実際の状況を確認しに来られます。無事に「断続的労働」であるという許可を受けられれば、通常勤務に加えて宿直をさせても残業扱いとはなりません。

なお、宿直の許可を受けていても、宿直中に搬送業務が発生した場合、その時間については「残業手当」の支給が必要ですのでご留意ください。

フューネラルアカデミーでは、こういった労務の問題に加えて、葬祭スタッフの人事評価の方法や報酬への紐付け方など、さまざまな人事にまつわる課題の解決策をお話する予定です。


葬儀社の採用から組織づくりまで。ひとつひとつ丁寧にお伝えします。

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