京都・洛王セレモニーにて、2019年12月末から稼働し始めた新しい霊柩・寝台車。今までにない特徴を備えていると聞いて、さっそく取材に出かけてきました!
トヨタハイエースを改造
白い大きな車体。ベースは、トヨタハイエースのロングワイドタイプだそうです。外見は、普通のハイエースとほとんど変わりありません。
車の後ろに回ってリアハッチ(バックドア)を開けてもらったところが、下の写真。
荷室下段には横に2台並んだストレッチャーが。上部は黒のハメ込みパネルが入っているため中は見えないものの、さらに2基の棺を入れるスペースがあるとのこと。
なんと、この車は合計4基の棺を一度に運ぶために作られたものなのです。
霊柩車 兼 寝台車
一台二役の頼れるクルマ
いったい、中はどうなっているのでしょうか、実際に動かしてもらいました。
棺は、横にスライドは出来ないので積む順序には少し工夫が必要だそうです。行程を考え、降ろす順番が早い方を下段に入れるようにします。なお、棺を4基フルに積んだ場合は、ストレッチャーが入れられないため、目的地に到着した後は現地で待っているスタッフと一緒に手で運ぶとのこと。
エアコンが設置されているので、一時的な霊安施設としても利用可能というのは心強いですね。
二次搬送時のコストが大幅に削減できる
━━どういったシーンでの利用を想定されていますか?また、導入によるメリットは?
「霊柩車としては、火葬場でご遺族と待ち合わせする場合のご遺体の搬送に利用します。同じ火葬場で1日に数件の直葬が重なった場合などに、この車を使えば、一度に火葬場へお送りして各担当ディレクターに連携することができます。
4台分の働きを1台で出来るということは、保有する車両台数も少なく済み、コスト削減につながります。ドライバー1名で対応できますので人員配置にも余裕ができ、別の業務に当たってもらったり、きちんと休暇をとってもらうことが出来るのです。
当社の場合は、本社にある霊安室から処置の終わったご遺体を各ホールへ運ぶ際に、これまではご遺体の数だけピストンで運んでいましたが、新型車であれば、一度に最大4つのホールへ搬送できます」
━━ということは、搬送車としての需要がいちばん多そうですか?
「はい。いわゆる中送り(二次搬送)での使用がメインになってくると思います。病院へのお迎えの場合は、ご遺族の目に触れることになるため、新型車は使わない予定です」
直葬増加の傾向に合わせた車両を開発
━━このような車両を作られたきっかけは?
「京都の火葬場は一つしかなく(2020年1月現在)、また通夜告別式を省略して火葬場で待ち合わせてお別れ会のみ執り行う『直葬・火葬式』が増えつつあります。
となると、1日に数件の直葬が発生した場合、それぞれ別々の車をドライバーが運転していくわけです。それは時間も経費も勿体ないなと・・・そう思って、4人分のご遺体が載せられる霊柩・寝台車を作ってはどうかと考えたのです。
同型のクルマは、首都圏でも活用できるのではと思います。例えば、火葬場が隣接している斎場で1日に複数件の葬儀を受ける場合などに良いのではないでしょうか?」
360度カメラで車内をVR内覧!
車種 | トヨタハイエース グランドキャビン(2WD) |
寸法 | 全長538mm 全幅118mm 全高226mm |
定員 | 3名 |