「コハコ」は、2019年8月中旬に公開された、スマート仏壇のコンセプトモデル。故人の名前を呼びかけると遺影の写真が表示され、タッチセンサーに触れると「おりん」が鳴る。第5回エンディング産業展のブースにて、BIRDMAN・宮坂雅春氏にコンセプト公開後の反響と制作のきっかけを聞いた。
仏壇を通じてコミュニケーションが生まれる
「エンディング産業展では沢山のお客様にいらしていただいて、今のところ、反響はポジティブな印象です。ネットやSNSでは賛否様々なご意見をいただいていますが、我々が思っていたよりも、新しいと感じてくださっている印象ですね。
そもそも我々は葬祭業界の者ではなくて、企業様の商品開発のお手伝いをしている会社達が何か世の中にないものを作ろうと、プロジェクトとして立ち上がったんです。今の世の中になく、かつテクノロジーがなかなか及んでないところを見渡した時に、それって仏壇かも知れないと。
実際、僕の義理の父が昨年亡くなった時に、初めて自分の家に仏壇を置くという状況になって、仏具屋さんに行った時に仏壇単体を見たら素敵なものはすごくたくさんあるんですけど、僕の家の、この辺に置きたいなと思ったところに置けそうな仏壇がなかなか見つからなかったんです。その話を周りにした時に共感する声や、白い箱みたいな仏壇があったらいいのにねっていう声を聞いたんですよ」
「もちろん伝統的な仏壇のスタイルを否定するつもりもないですし、今後も続いていくだろうってことは理解していて。その上で、もっと別の選択肢があってもひょっとしたらいいんじゃないかなという門外漢だからこそ考えられる無邪気な新しさですかね。
コハコよりもおしゃれな仏壇はもっといっぱいあると思うんです。コハコはデザインというよりもコミュニケーションをテーマにしていて、直接会話することはできないけれどたくさん思い出したり、あるいは向こうからもメッセージが届くような、仏壇を通じてコミュニケーションが発生したら、それが新しい習慣になったらと」
ソフトウェアの進化に合わせて
新しいデバイスに更新していくのもいいんじゃないか
「エンディング産業展では、お客様から様々なアイデアをいただく機会もありました。例えば、AIを使ったものとして、故人の方の声を記録した故人の方の言語モデル、その方が何を聞かれるとどういう風に答えるのかっていうモデルを作っておくと、このコハコの中にAIとしてその方が存在するような。
「おじいちゃん、おはよう。行ってくるね」って言うと、僕のおじいちゃんはいつも「おう、車に気をつけろよ」って絶対言うんですけど、例えばそういう会話ができるんじゃないかというご意見をいただきました。今発表している機能は暫定のものですが、テクノロジーを活用しようとなった時点で機能はいくらでもアップデートできるかなと思っています」
「我々はメーカーではなく、自分たちで製造して販売することはできないので、こういった形でコンセプトを発表して、実現してくれるパートナーさんを探しているところです。それが仏壇メーカーさんなのか、インテリアメーカーさんなのかわからないですけど。
もし実現したら、きっとまだまだ進化するでしょうし、我々が思ってるのは、通常の仏壇だと1回購入したら代々使い続けていくものですが、これは家電みたいな考え方で、中に入れるデータは過去帳のようにずっと代々受け継ぎ続けるけれど、デバイス機器は、進化していくにつれて新しいものに変えていくっていうものにしてもいいんじゃないかなと。
常にその時代、その時代の最新のコミュニケーション機能を搭載したものを使っていくことができるんじゃないかなと思っています」
▼「コハコ」公式WebサイトURL
http://www.COHACO.rip
▼「コハコ」コンセプトムービーURL
https://youtu.be/SxHn5ghWtk0
【現在公開されている機能】
・位牌(いはい)に見立てたUSBメモリをコハコの中に入れると、7.9インチの円形IGZO液晶ディスプレイでUSBに保存された写真や動画データを再生。
・故人の名前を呼びかけるとディスプレイに遺影の写真を表示。
・タッチセンサーに触れると「おりん」が鳴り、アロマが香る。
・手を合わせると、モーションセンサーが反応して写真が変化する。
・あらかじめ設定した日時に写真や動画を自動再生させたり、遺族が仏前に立ったときに自動でメッセージを流す。
<会社概要>
株式会社BIRDMAN
東京都渋谷区千駄ヶ谷2-2-8 Birdman's Cave
株式会社二番工房
〒104-0061 東京都中央区銀座7-14-13 日土地銀座ビル6階