「オレンジページくらし予報」が、国内在住の20歳以上の女性を対象に「終活」について調査を行った。「終活」とは、病気や介護に直面したときにどんなケアを望むのか、どんな葬儀をしたいかなど、よりよい最期を迎えるための備えのこと。超高齢化社会に突入し、身近な人の病気や葬儀を経験する機会が増えているせいか、言葉の認知はかなり広まっている。そこで、終活で相談したいこと、望む医療、供養の方法などについてリサーチし、「今どき」の終活事情を探った。
<ダイジェスト>
- 終活で相談したいことは「葬式」「家の整理」「貴重品や通帳・印鑑の保管」
- 40代になると、「親の終活」だけでなく「自分の終活」も視野に入ってくる?
- 望む供養は「樹木葬」25.5%、「海などでの散骨」24.7%が上位に
ーアンケート概要ー
調査対象:オレンジページメンバーズ・国内在住の20歳以上の女性(有効回答数976人)
調査方法:インターネット調査
調査期間:2019年12月12日~16日
終活で相談したいことは「葬式」「家の整理」「貴重品や通帳・印鑑の保管」
人生の終わりに向けた準備である「終活」は、医療や介護の問題から、お金や相続のことまで、さまざまな要素を含むが、みんなが相談しておきたいのは、どんなことなのだろうか。
「終活で話していること、話したいと思っていること」をたずねてみると、もっとも多かったのが「葬式」61.0%。いろいろ懸案はあれど、まず「葬式」をどうするのかが、話し合うことのトップに。また、取っておきたいものを選び出し、余分なものを処分する「家の整理」60.6%や、財産を明らかにして、相続などをスムーズに行うための「貴重品、通帳、印鑑の保管」58.2%などが僅差で並んだ。それ以降は「介護」「保険や預貯金」などの項目が続き、まさに話すべき課題は山積みといった様子である。
「終活する理由」についてたずねてみると、「家族に迷惑をかけたくない」が63.3%と、残された人の手をわずらわせたくないという思いが浮かび上がった。これまでに、親の看取りを経験した人の自由回答にも、「義母が急に亡くなり、葬儀に呼ぶべき人も、墓のことも何もわからず、お金が湯水のごとく消えた。生きているうちに話し合うことは大切だと、しみじみ思った」(30代・専業主婦)など、苦労したエピソードが数多く寄せられた。「やりたいことを優先し、人生を楽しんで終わりたい」という回答は、ぐっと少なく17.0%。終活には本来、「よりよく人生の終わりを迎える」という前向きな面もあるはずだが、それ以前に葬儀、相続、お墓など考えるべき課題が多く、現状はそれに向き合うだけで精一杯なのかもしれない。
40代になると、「親の終活」だけでなく「自分の終活」も視野に入ってくる?
「終活」について、家族や身近な人と話したことがある人は、34.8%。全体の1/3程度といったところだが、終活について話したことがある人を年代別に分析してみると、興味深いことがわかった。30代までは「自分」よりも「親」の終活について話す割合が格段に多いのに対し、40代になると「自分」の終活について話す割合がぐっと増え、「親」に迫る勢いに。50代になると、その割合は逆転。40代は自身の体力の衰えを感じ、親の死に直面する人が増える時期だ。それだけに、終活を「自分ごと」としてとらえはじめる分岐点といえるだろう。
終活の実施状況をきいてみると、「既に行っている」のはわずか10.3%。もっとも多かったのは、「いずれは行いたい」54.6%というぼんやり考えているレベルの人だった。元気なうちは、きっかけがないと始めにくいのかもしれない。とはいえ、実際に親の老いや病気が気になってから、慌てて「終活」のことを話題にすると、不快に思われてしまうケースも。「夫が義母に終活の話をそれとなくきいたら、早くいなくなれというのか、と怒られた」(40代・フルタイム)など、気まずい雰囲気になったという声が寄せられた。確かに、突然「墓」「葬式」「財産」などの話をされては、「お金が目当て……?」と、疑心暗鬼になってしまう気持ちは理解できる。もしかしたら、発想を変えて、若いうちから習慣的に「終活」について話し合ってみても良いかもしれない。日常的に話題になれば、肩ひじを張らずに「終活」の話ができるはず。「お友達はね…」など、知っている情報をシェアしあえば、納得のいく方法が見つかりやすくなるはずだ。
望む供養は「樹木葬」25.5%、「海などでの散骨」24.7%が上位に
大きな病気や終末期医療について、自分の希望を伝えている人は34.0%。その内訳としては、「胃ろうや人工呼吸器などの延命治療は必要ない」が他を大きく引き離し、70.5%でトップに。次いで、「病名などは告知してほしい」48.8%、「家族に負担がかかるなら、病院や施設に入所する」47.9%が並びました。終活経験者からは、「医療行為にむだなお金をかけないなど、自分の希望をしっかり伝えておくべき」(40代・パート)、「延命の決断は、いざとなると気持ちが揺れると思うので、書面で残しておくと家族の負担が少ないと思う」(50代・フルタイム)といった声が寄せられた。終末期の治療は、認知症などにより、本人の意思が確認できない場合が考えられる。それだけに、前もって家族に伝えたり、書面に残したりなどして、きちんと希望を伝えておくことが重要だ。
埋葬方法についてもきいてみると、「樹木葬」25.5%、「海などへの散骨」24.7%など、比較的新しい方法が上位にランクイン。世代別で分析すると、40代~50代は「樹木葬」や「散骨」の人気が高く、従来の「お墓に入る」概念にとらわれない人が多いよう。60代以上は「自分や家族が建てたお墓に入る」が1位で、ある意味現実路線。年齢的に、すでに準備していたり、自分なりに考えていたりするのかもしれない。
「終活」という言葉が、新語・流行語大賞のトップ10入りを果たしたのが2012年。言葉の認知は広まったものの、実施率は「そのうちやろう」という、様子見の人たちが多いのが現状だ。超高齢化社会を迎え、突然の病や事故、認知症になる可能性は、より高まっているといえる。さらに、家族が離れて暮らすことが珍しくない今、元気なうちに自分の意思を伝え、「終活」しておくことが、社会的に必要になってくるだろう。40歳を過ぎたら、お盆や何かの記念日など家族が集まる機会をとらえて、「終活どうする?」と話し合っておくことが大切なのかもしれない。