宗教法人慈眼寺の【風の丘樹木葬墓地】の墓苑および法要棟が、2019年度グッドデザイン賞を受賞したことを発表した。
(同時受賞者:株式会社SRAN DESIGN、西武造園株式会社、MOA Creation)
‘’土に還る‘’樹木葬本来の思想と、現代社会の問題解決の両方を叶える墓地
風の丘樹木葬墓地とは?
風の丘樹木葬墓地は、東京都八王子市の多摩丘陵の一部にある2016年に開苑した樹木葬墓地。大空が広がり、風が心地よく吹き抜ける丘の上にあり、自然に溶け込む静かな空間で故人を想うことができる。都内では駅近の墓地が貴重ななか、JR横浜線片倉駅から徒歩7分の至便な立地に、1区画54万円からという低価格を実現。継承者を必要とせず、埋葬後の維持管理費を必要としないのが特長。
デザインが生まれた背景
墓地の継承者不在という昨今の問題の解決策として、継承者が必要なく、比較的リーズナブルでありながら自然を感じられる樹木葬が注目されている。しかし、都市部では敷地面積が確保できないことから樹木葬本来の“土に還る”というコンセプトを出し切るのは難しいとされていた。風の丘樹木葬墓地のデザインに際しては、樹木葬を一過性の流行ではなく、文化に根付き永く受け継がれるものにするために、埋葬形式・所作・ハード面とソフト面の全てに一貫性をもたせ、そのもの自体が時代を超えて愛され護られていくよう腐心した。
審査委員からの評価
これから増えていくであろう樹木葬というかたちを空間的にどのようにモデル化していくかを丁寧に考えたプロジェクトである。風景の美しさもさることながら、埋葬の方法や訪れる人の体験のシークエンス、管理運営の方法まで、全体をデザインの対象として捉えて一貫性を持って一つの場のあり方を提示している。これからの時代の墓地の問題に対する明確な前進が示されていると言える。
デザインのこだわり
地形との一体化を目指した埋葬エリア
多摩丘陵の一部という特長を生かし、周辺環境と溶け込むよう緩やかな地形を作り、芝生で覆った場所を埋葬エリアとしている。この埋葬エリアは、周囲の山々に地形が押し上げられ 、隆起することをイメージして設計された。そこに自分が入ることで、大地に優しく包まれ、大地と一体になるという想いを表している。
区画仕切りのない埋葬場所
埋葬エリアは35cm四方の区画が格子状に配置されているが、仕切りとなる構造物はない。 また、埋葬時は芝生を掘った跡がしばらく残るものの、時間とともに消えていく。その変化から、徐々に「土に還っていく」ことを感じてもらいたいと考えた。
また、一般的な墓地では花束を埋葬場所に供えますが、風の丘樹木葬墓地では献花台で花の部分だけを水に浮かべる形式を採用。花が多くなるほど美しく見えるこの献花台は、たくさんの方が一緒に眠る樹木葬だからこそできる特別な風景となっている。
墓のランドスケープと一体となった建築
埋葬エリア(墳墓)の周辺には、神聖な場所を象徴する水が流れている。墓地の風景を見渡せる休憩所と法要所からは、木々や水面の揺らぎ、日差しの変化を楽しみながらゆっくりとお墓を見ることができる。法要棟は穏やかな曲線を描き、屋根は地形の傾斜に合わせている。これにより墳墓の曲線が強調され、調和のとれたランドスケープの一部となっている。
運営する白華山・慈眼寺の想い
風の丘樹木葬墓地設立にあたり、施主として建築にたくさんの想いを込めた。墳墓の周りに流れる水は、神聖な場所を表すと共に、人の輪廻を想起させる。人生の如く水が沸き上がり、うねり、やがて穏やかな流れとなり、静かに大地に還っていくイメージとなっている。また、墳墓を取り囲むように並ぶ石は、あえてつなげていない。これは完全な形ではなく、周りの環境や人の流れを取り込み、外の世界とつながろうとする柔軟な心を表現している。多摩丘陵の地形を生かした墓地一体のデザインや四季折々の美しさに魅力を感じてもらい、安らぎに満ちたお墓となることを願っている。
風の丘樹木葬墓地概要
販売:株式会社慈光
運営:曹洞宗・白華山 慈眼寺
デザイナー
SRAN DESIGN Inc. 関野らん 宮村綾乃
MOA Creation 今井柴緒 長田堅二郎
施工:西武造園株式会社
協力会社
松井建設株式会社 東京支店
株式会社一条石材
石材工房大地
価格
有期限使用区画 1人 54万円~
永代供養付区画 1人の場合 150万円~(最大8人まで)
※別途年間管理費7,000円が必要になります。
仕様
敷地面積:5,771㎡
法要棟:建築面積 524.34㎡ 延床面積 459.96㎡ 鉄筋コンクリート造一部鉄骨造
墓苑:墓域面積 1,337㎡ 総区画数 3,949区画
販売対象:日本国内
所在地:〒192-0914 東京都八王子市片倉町939-6
▼オフィシャルサイト:https://kazenooka.tokyo/