競合他社とも胸襟を開いてwin-winの関係を築くこと
これからの時代にはそれが必要です。

「天光社」や「千の風」ブランドの葬儀会館などを全国展開する株式会社天光社。これまで葬祭業の価値向上を目指し、料金の明瞭化や葬儀施設の見直し、社員レベルの向上などさまざまな取り組みを行ってきた。そんな同社が2017年12月にフードサービス業界という異業種から新社長を迎え、さらなる事業拡大に挑む。今回は、大手居酒屋チェーンの上場や、飲食店の新規立ち上げ・海外展開など多様な経験を持つ江村哲也社長にお話を伺った。

天光社に入社したきっかけは?

 私はこれまで30年近くフードサービス業界に身を置いてきました。大手居酒屋チェーンの株式公開や東証一部上場などに携わり、店舗営業、商品開発、仕入物流、販促、人材育成など幅広く経験してきました。また、海外でも和食店を立ち上げ、多店舗展開にチャレンジしたのですが、新たな分野で自分の可能性を試したいという想いが強くなり、2015年に帰国。ご縁があって天光社に入社しました。

葬儀業界を選んだのはなぜでしょうか?

 理由は2つあります。1つは、日本全体が少子化傾向にあり、さまざまな業界が縮小していく中で、葬儀業界にはまだまだ可能性があると思ったこと。2つ目は、社会的意義のある仕事にもかかわらず世間からあまり認知されていない職種であり、このギャップを埋めることにやりがいを感じたからです。これまで居酒屋などの「水商売」といわれる分野にいたのですが、おかげさまで会社を上場させることに成功し、社会的にも認められるまで成長させることができました。この経験を生かせるのではないかと思ったのです。

画像: 「すべてのサービス業はお客様からの『ありがとう』を目指すことが目的」と江村社長

「すべてのサービス業はお客様からの『ありがとう』を目指すことが目的」と江村社長

少子高齢化や葬儀への価値観の変容など、供養業界には大きな変化が起きていますが、そうした状況をどのように見ていますか?

 時代の流れによって市場は常に変わるもので、それはどんな職種でも同じ。ただ、供養業界は今、特に大きな変化が起こっているのも事実です。私の経験上ですが、ある程度の変化を予測はできても、それを一企業が先導して行くことは難しいのではないでしょうか。それよりも、顕在化したニーズに素早く対応していくことが大切だと思います。団塊の世代が高齢を迎えたことが戦後から続く時代の流れの一つの節目と捉えた場合、これまでとはまた違った新しい波が来るのでないかと個人的には感じています。正確に予測することは不可能ですが、何が起きても対応できる準備だけはしておかなければならないでしょう。

具体的な対応策はありますか?

 正直に言えば、まだ模索段階です。ただ、大事なのは私たちの事業ドメインをどこに定めるかだと思います。葬儀自体に領域を絞るのか、またはライフタイムバリューに領域を絞るのか。今はお客様からのご要望が多様化しているがゆえに、それを見極めることが大事になります。この根幹が定まらなければ私たちの事業がぼやけるだけでなく、お客様から見た私たちの存在自体もぼやけたものになります。だからこそ、時間をかけて戦略を立てていきたいと考えています。

フードサービス業界と葬儀業界の大きな違いは?

 一番の違いはマーケットの反応がそれほど敏感ではないということです。一般的な小売業や飲食業だと、値段の上げ下げやメニューの変更に顧客はすぐに反応します。例えば、クリーニング店であればワイシャツ1枚の料金を数十円変えただけでもすぐに反応が表れます。一方、葬儀業はサービス内容や料金を変えてもすぐには反応が表面化しません。なぜなら、私たちはお客様が必要としてくれた時に力を尽くす仕事であり、コントロールが難しい業種だからです。つまり、基礎的なことを愚直に続けていくことが顧客から信頼を得る何よりの方法でしょう。そこが他業種と違う点であり、特色でもあると思っています。

画像: 「家族葬 千の風 三橋ホール」外観

「家族葬 千の風 三橋ホール」外観

葬儀業界のよいところは?

 私が天光社に入社して、一番驚いたのが社員の礼儀正しさであり人間性の豊かさでした。普段から人の死に接して、悲しみに暮れる方々に寄り添っているからこそでしょう。いざという時、見せかけの優しさは通用しないものです。真摯に仕事に向き合い、人間性を試される場面に何度も立ち会っているからこそ、本当の思いやりを熟知しているのだと思います。葬儀業では同じ業界内で転職する人も多いですが、それは、やりがいを感じる仕事だからではないでしょうか。若くして葬儀を任され、お客様から涙を流して感謝されることなど、他の職種ではなかなか体験できません。私自身、改めて素晴らしい仕事だと誇りに思っています。

現在、取り組んでいることを教えてください。

 昨年12月に西八王子駅北口徒歩1分の場所に相談窓口をオープンしました。こちらの相談窓口の特徴は自社の式場だけでなく、公営式場や他社の葬儀も相談できるところです。駅前なので気軽に立ち寄れますし、わざわざ車で遠くの式場へ足を運ぶことが難しい方に向けてサービスを提供していきたいと考えています。また、近年増え続けている家族葬に応えるために家族葬専門の式場づくりにも着手しています。ここで大切なのが、目指すべき方向性に合わせて人材育成や宣伝広告を変化させる必要があること。ビジネスである以上、ただ形を変えるだけでなく、そこでしっかりと利益が生まれる体制を整えていかなければならず、今はその基礎づくりの時期だと位置づけています。

画像: JR西八王子駅前「千の風・お葬式相談窓口」では、あらゆる葬儀に関する相談を受け付けている

JR西八王子駅前「千の風・お葬式相談窓口」では、あらゆる葬儀に関する相談を受け付けている

今後の展開は?

 葬儀業界全体の市場は大きくなっていますが、葬儀事業者が持つ葬儀場などの施設稼働率は、まだまだ低いのが現状です。例え市場が倍になっても現在ある既存の施設で十分まかなえるはず。そうした点では、他社と業務提携して施設をシェアリングしていくことも想定しています。そうした取り組みが結果として、お客様にサービスをリーズナブルに提供していくことにつながると考えているからです。ビジネスを成立させるには、1+1が3にも5にもなるシナジーが生むことが大切です。それには競合他社とも胸襟を開いて、win-winの関係性を築くことも必要な時代だと確信しています。

プロフィール

江村 哲也(えむら てつや)

1989 年ワタミフードサービズ(現:ワタミ)入社。外食展開十数店舗の時代から経営の中心として関わる。オリジナルの業態(和民ブランド)の開発などを手掛け、店舗営業においては100 店舗を達成。また、自身でもDream Dining Corporation (ドリームダイニングコーポレーション)を立ち上げ、海外で飲食店を展開。2017年12月、㈱天光社代表取締役に就任。


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