トップインタビューvol.6 イオンライフ株式会社 代表取締役社長 広原章隆氏

2009年9月、イオンリテール株式会社の一事業として始まった、全国各地の葬儀社と利用者をつなぐ葬儀の仲介サービス「イオンのお葬式」。良心的でわかりやすい定額プランがすぐに評判となり、2014年9月にイオンライフ株式会社として分社化。葬儀を含めた終活全般のサービスを手掛けるイオングループの1企業へと急成長を遂げた。今回は、同社が葬儀サービスを始めたきっかけや、今後の目標などについて、広原章隆社長にお話を伺った。

葬儀場が空いている時間を利用した
葬儀社の紹介サービスを事業化できないか

━━「イオンのお葬式」を立ち上げたきっかけを教えてください。

 私は元々、イオンで冠婚葬祭を中心としたギフト商品の開発や海外商品の仕入れを担当していました。その中で、香典返しの販路拡大のひとつとして葬儀事業者と協力できないかと構想し、ある企業へのヒアリングを開始しました。

 実際にお話を伺いに何度か事務所へ足を運んでいるうちに、同じ建物内にある葬儀場がいつも使用されていないことに気づいたのです。葬儀場の稼働率を聞いてみると約50%だというので、空いている時間を利用した葬儀事業者の紹介サービスを事業化できないかと思いついたのがきっかけでした。

画像: 「イオングループは新しいことにチャレンジする会社。スタートは社内ベンチャーでした」と広原社長

「イオングループは新しいことにチャレンジする会社。スタートは社内ベンチャーでした」と広原社長

━━事業化に向けてどのような取り組みをされたのですか?

 事業をスタートさせる前に社内で葬儀に関するアンケートを実施しました。すると、喪主を経験した社員から費用に対して「わかりにくい」「不透明である」との回答が多く、不満を持つ人が少なくないことがわかったのです。

 私自身、親の葬儀の喪主を務めた時に、葬儀事業者から事前に見積りをいただいたのですが、高額にもかかわらず契約書すらないことに違和感を覚えた経験がありました。ただでさえ、身内が亡くなり精神的にもまいっている中、交渉もままならない状況で葬儀プランを決めなければなりません。

 これをもっとわかりやすくご遺族に寄り添った形でサービス化できれば、利用者に喜ばれる事業になると確信しました。

━━喪主にとって費用が明瞭であるサービスを目指しているのですね。

 喪主様は葬儀の費用面だけでなく、葬儀前後の手続きにも気を配る必要があります。四十九日の法要や役所への手続き、相続やお墓の手配など、さまざまな段取りを短期間で進めていかなければなりません。

 そうした手続きや手配をサポートするのが私たちの仕事だと位置づけています。そのため、私たちの考え方に協賛していただける葬儀社様と一緒に、よりよいお葬式を作り上げていくことを目指しています。

画像: 全国各地の斎場・葬儀場を紹介している「イオンのお葬式」(同社サイトのTOP画面)

全国各地の斎場・葬儀場を紹介している「イオンのお葬式」(同社サイトのTOP画面)

━━御社のサービスの特長を教えてください。

 当社のサービスのこだわりのひとつが、葬儀からアフターケアまでを一人の葬祭アドバイザーが一貫して行っている点です。葬儀を手配するご遺族様は大事な人を亡くしたばかりで気が動転しています。

 そのような状況では、例えば葬儀のお見積りを適正かどうか確認することは難しいでしょう。後のトラブルにもなりかねません。そこで、私たちが冷静な目でもって必要な項目かどうかをチェックしています。

 また、葬儀に問題がなかったか、その後の法要の準備を済ませているかなど、お客様の視点に立ってケアしていくことを重視し、葬祭アドバイザーが責任を持って信頼関係を構築しながらサポートを行っています。

━━「イオンのお葬式」では全国各地の葬儀事業者と提携していますが、紹介先によってサービスに差が生まれるようなことはないのでしょうか?

 現在、「特約店葬儀社」と呼ばれる全国約620社の葬儀事業者と提携していますが、一貫したサービスを提供するために140項目の「葬儀サービス品質基準」を定め、これを守っていただいています。

 例えば、通夜の席でもお別れ会を催すなど、内容を細かく規定しているので、品質に大きな違いが発生することはありません。また、業界の著名なコンサルタントをお招きして、定期的に研修会を行ったり、ご遺族様に喜ばれた事例などがあれば各社に共有するなど、常にサービス向上に向けた努力もしています。

やさしさのないビジネスに成功はない

━━情報の共有化によって生まれたサービスもあるとか。

 告別式を時間の都合をつけやすい夕方に行う「夕刻一日葬」ですね。一般的な葬儀ではご遺族様はもちろん、参列する方も場所などによっては仕事を丸一日休むことが必要になります。しかし、仕事の都合などで時間が割けない参列者様も多く、そうした方々の声に応えたプランになっています。

 以前から、一般葬だけでなく一日葬や家族葬、または火葬だけなど、時間がない場合や費用などの都合に合わせたさまざまな弔い方がありますが、それらに加え、お客様の今の生活のニーズに合わせた新たな葬儀の形になると考えています。実際に、お客様からの反響もよく、さらに広めていく方針です。

画像: 「夕刻一日葬」の流れ。一般葬とは告別式のタイミングなどが異なるのが特徴だ

「夕刻一日葬」の流れ。一般葬とは告別式のタイミングなどが異なるのが特徴だ

━━お客様の選択肢を増やすことにもつながりますね。

 私たちは葬儀専門の事業者ではありません。葬儀や終活に関するサービスを通して新たな価値を提示していくことが弊社の使命でもあります。

 現在のイオンライフ会員は約16万人ですが、会員の皆様が望むのは、健康を保ち長生きすることであり、そのお手伝いをすることが私たちの最大の目的です。不安の多い現代社会において、安心を届ける会社になりたいのです。

━━具体的にはどのようなサービスを提供しているのでしょうか?

 2018年12月に、がん早期発見サポートサービス「E-detect」をリリースしました。今、日本の死亡率ナンバーワンはがんです。2人に1人がこの病気にかかり、3人に1人が亡くなっています。早期発見ができれば助かる確率も高まるのですが、がん検診の受診率は低く、その原因は経済的理由や受診する時間がないことなどが挙げられます。

 そこで、がん検診よりも比較的費用のかからない尿検査によるがんリスクのチェックを行い、判定結果によってがんドックを無料で受診できるサービス(*1)を提供しています。こうしたサービスによって、目に見える形でお客様の健康寿命を延ばすことに貢献していきたいと思っています。

*1 がんドック費用に上限あり

画像: 「人生100年時代に突入し、定年以降の長い生活をよりよくするために私たちがいます」(広原社長)

「人生100年時代に突入し、定年以降の長い生活をよりよくするために私たちがいます」(広原社長)

━━広原社長が仕事上で一番大切にされていることを教えてください。

 「志は強く、人にやさしく」という言葉を、会社と私自身のスローガンにしています。

 世の中をよい方向に変えていきたいという強い志がなければ、企業や個人間の競争においては生き残れないからです。しかし、志が強ければ強いほど、他人に対して想いを強制し、強く当たってしまうのも事実です。

 ただ、サービス業は人に喜ばれて初めて成立するもの。特に葬儀事業は人にしっかりと寄り添うからこそ信頼を得られる仕事です。普段の生活から、自分の周りの人や身内はもちろん、電車の中で偶然出会ったご老人に対してもやさしくしている人ほど、いざという時に真のサービスができるはずです。

 やさしさのないビジネスに成功はない。そう信じています。

【プロフィール】広原 章隆(ひろはら ふみたか)

1980年、ジャスコ(現イオン)に入社。家電商品部長、デジタル事業本部長などを経て、自身の父親の葬儀に疑問を持ったことがきっかけで、2009年「イオンのお葬式」を新規事業として立ち上げる。2014年9月よりイオンライフ株式会社を設立し社長に就任。サービス介護士や終活カウンセラー資格、ECO検定資格など多くの資格を保有し、さまざまな分野でセミナー講師などを行う。テレビ出演や講演も数多くこなしている。

▼イオンライフ公式サイト
http://company.aeonlife.jp/

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