8 月24 日(金)に東京ビッグサイト東展示棟 7 ホール(東京都江東区)にて開催された「終活フェスタ&ソナエ博 2018」。その中のセミナー「現代の終活、葬儀を考える」では、タレントの壇蜜さん、全日本仏教会事務総長の戸松義晴氏、イオンライフ社長の広原章隆氏が登壇し、葬儀や終活について意見を交換した。

別れ際は本音が出やすいもの
家族で話し合い旅立つことが大切

画像: 祖母と家や相続について少しずつ話し合いを進めている最中だという壇蜜さん

祖母と家や相続について少しずつ話し合いを進めている最中だという壇蜜さん

 まず、自らの死生観を語ったのは、10年前に葬儀の専門学校を卒業して、大学の法医学教室で解剖の仕事をしていたという壇蜜さん。「どうして亡くなってしまったのかを解明しないと、ご遺族の方に悔いや疑問が残るので責任重大でした。納得してお別れすることがどれだけ大事かを学んだ」と、自らの経験を通して意見を述べた。

 「大学では『人は二度死ぬ』と教わりました。肉体の死と、周囲の人から忘れ去られる記憶の死です。肉体の死は100%誰もが避けられないことですが、記憶の死は周りの努力で防ぐことができる。死は一回でいい。二度目の死を防ぐことは葬儀に携わる人たちの仕事でもあると思う」と、葬儀事業者への期待を込める。

 また、終活についても持論を展開した。「別れ際は本音が出やすいもの。現実的な部分と、感情的な部分を家族で話し合ってから旅立つことが大切。みんながみんな準備できるわけじゃない。いつ何時その時が来るか予測はできないと考えながら生きていくことが重要だと思う」

ビジネスに置き換えると
現状の“葬儀の常識”はおかしい

画像: 「トラブル回避には葬儀の知識を持つことが大切」と、広原社長

「トラブル回避には葬儀の知識を持つことが大切」と、広原社長

 一方、2009年に「イオンのお葬式」を立ち上げ、葬儀業界に参入したイオンライフ社長の広原章隆氏は、その経緯について自身の経験がきっかけだったと説明する。

 「父の葬儀の喪主をした時に違和感を覚えたのは、事前の見積もりと実際の金額に大幅な違いがあったこと。そして、少額ではない代金を支払うにも関わらず契約書もなく行われた点でした。これを一般的なビジネスに置き換えると常識ではありえない。そこで、金額などの不透明な部分を分かりやすくできないかと考えたのが出発点でした」

 「家族葬」を代表とする、葬儀の小規模化については、「形は変わっていくが、社会構造の問題でもあり、時計の針は戻せない。小規模だからこそ家族の時間をゆっくり過ごせる、故人の想いに沿った葬儀ができるなど、たくさんのメリットもある。僧侶には亡くなった方を浄土へ送る役割があるように、私たちにとっての一番大切な仕事は、残されたご遺族のサポートをすることだと思っている」と、自らの経営方針を語った。

最適な心のケアを行うためには
業種を超えた連携が必要

画像: 戸松氏は「偉そうなことを話していますが、実は私も終活を始めていない(笑)」と、会場の笑いを誘った

戸松氏は「偉そうなことを話していますが、実は私も終活を始めていない(笑)」と、会場の笑いを誘った

 近年の葬儀事情に対し、僧侶の立場としてはどのように見ているのか。戸松義春氏は「今一度、皆さんが葬儀や死をどのように捉えているかを考え直さなければならない。死を自分の家族のことのように受け止められるか。それがないと教義をいくらお話しても届かない」と自戒を込めて話した。

 実際に、葬儀にまつわる費用は不透明な部分が多く、トラブルが発生するケースも少なくない。寺院と檀家の間で発生する「お布施」もそのひとつだ。イオンライフはこうした問題に対し、全国統一価格でお布施の金額を明示したが、これを寺院はどう見ているのか。

 「大変驚くとともに、私たちの協会でも物議を醸したのは事実です。ただ、一般の方にすれば『お気持ちで』といわれても、いくら用意すればいいか分からないという声もある。利用するかどうかは皆様の判断なので、私たちにできることはそうした定価表がなくても安心できるような在り方を提案することでしょう」

 少子高齢化によって近親者や地域のつながりが弱まる中、僧侶の役割についてこう話す。「死が近づくと、仕事をやめたり入院したりして、人との関係が途切れてしまう。僧侶はそうした人の話を聞き、死後のことなどをお伝えするのが本来の仕事だと思います。最適な心のケアを行うためにも、これからは介護や医療に携わる方、そして葬儀業者、僧侶が協力をしていくことが大切になる」

心配事のピックアップから
終活を始めてみる

画像: 「いつ何時その時が来るか予測はできないと考えながら生きていくことが大切」という壇蜜さんの言葉に一同頷く

「いつ何時その時が来るか予測はできないと考えながら生きていくことが大切」という壇蜜さんの言葉に一同頷く

 最後に、終活を始めることの大切さについて、壇蜜さんは「今、広がりつつある新しい葬儀の形や、相続にまつわる情報を知るだけでも、自分ならどうするかを考えるきっかけになるはず。もし心配なことがあれば、その解消のためにイオンライフさんなど葬儀のプロフェッショナルがいる。まずは、自分自身の不安をピックアップしていくことから始めてみては」と、締め括った。


This article is a sponsored article by
''.