“最期のパートナー”としていかにお役に立てるか。
そこに業界の未来があると思うんです。

全国に先駆けて永代供養システム付き霊園を導入し、墓石業界に一石を投じた(株)霊園墓石のヤシロ。お墓をご遺族の「やすらぎの場」にするため、生前契約が可能な永代供養墓「なごみ霊廟」や樹木葬、ペットと入れるお墓など、次々と新たなサービスを打ち出す八城勝彦社長に、独自の経営理念や今後の業界の動向を伺った。

「なごみ霊廟」が誕生したきっかけは。

 墓石業界も年々過当競争が加速し、加えて少子化の影響でお墓の維持も難しい時代になりました。そうした中で、顧客満足度を高めるためにはどのような工夫が必要かを長年試行錯誤していたのです。たどり着いたのは「癒しのランドスケープ」というコンセプトです。その実現のために、全国各地の霊園だけでなく、中国やヨーロッパにも足を運び、視察して回りました。そして出合ったのが、ドイツのハンブルグにあるオールスドルフ霊園でした。

北摂池田メモリアルパーク(大阪府池田市)にある「なごみ霊廟」

オールスドルフ霊園について教えてください。

 日本に根付いているお墓や墓地の概念とはまったく違い、墓地の利用方法がとてもシンプルなんです。まず、使用期間が25年と定められています。これはお墓を利用する世代が約25年で変わると想定しているためであり、自分の代の利用料は自分で支払うようになっています。
 例えば契約者が亡くなって埋葬された場合、そのお墓を再契約するかしないかは子どもが考え、更新しないという選択をすると合祀になり、お墓は次の希望者に譲られ再利用されます。このサイクルがうまく回り、ハンブルグでは140年近くもこの霊園1つで死者を弔い続けているのです。とても合理的なシステムに驚くとともに、なぜ日本の霊園はこれを真似しなかったのだろうと、本当に不思議に思いました。

「なごみ霊廟」はオールスドルフ霊園を参考にしたのですね。

 すぐにこのお墓をリサイクルできる仕組みを弊社の霊園に取り入れ、永代供養墓のシステムを導入したのです。お墓の使用期限はわかりやすく日本の風習にならい、十三回忌から13年に設定。そして、ご夫婦で契約した場合、残された方がお墓に入ってから13年目に合祀に移っていただくという条件にしました。
 2009年にサービスを開始したのですが、たくさんの反響があり、たちまち人気のプランとなりました。それだけでなく、近年では「子どもにお墓のことで迷惑をかけたくない」という思いを持つお客様がとても多いことにも気づくことができたのです。

画像: 霊園の中央には小川が流れ、耳心地のよいせせらぎの音は癒しの空間を演出している

霊園の中央には小川が流れ、耳心地のよいせせらぎの音は癒しの空間を演出している

「なごみ霊廟」とはどのような施設ですか。

 簡単にいえば、生前契約が可能な永代供養墓です。複数の遺骨を安置して弔うタイプのお墓なので、とにかく費用が抑えられるのが特徴です。それだけでなく、毎月お寺の住職による合同供養祭を行い、亡くなられた方を手厚く弔っています。
 なごみ霊廟と他の霊園の永代供養墓との大きな違いは、お墓の継承が困難になったお客様に対し、弊社が責任を持ってなごみ霊廟で永代供養をさせていただくシステムをご用意している点です。お子様がいないご夫婦や、経済的にお墓の維持が難しいご家庭でも、墓じまいからその後の永代供養墓への移行までを見越した事前契約ができる仕組みが大きな特長になっています。

一般的なお墓との違いはなんですか?

 お墓を購入するとき、ベースとして必要になる費用が「永代使用料」と「管理費」です。「永代使用料」を支払えばお墓を永久に使用できるかと言えばそうではなく、「代が続くかぎり」という条件付きであり、「管理費」を継続的に支払う必要があります。
 では、代が途絶えたり管理費が払えなくなった場合、どうなるか。お墓が建つ土地を返却しなければならず、土地の使用者が責任を持ってお墓を撤去し、費用も自己負担になります。ですが、そもそも墓じまいが経済的理由によるものだと、その費用の捻出が無理難題になる。そこで考えたのが、生前から合祀を見据え、土地の返却も容易なプランを契約できる霊園だったのです。

合祀というとこれまで少しネガティブな印象がありましたが。

 確かに、家族のいない方や経済的に苦しい方のための弔い方という認識がありました。しかし、家族の形はさまざまです。それはつまり、お墓に対しての考え方もさまざまということ。私どもの霊園ではお客様のご要望にあったお墓を提供するのはもちろんですが、いまだお客様が気づいていない、お墓を持つことに対するリスクをお知らせすることも大切な役割だと思っています。そうした意味で合祀というスタイルは、もっと一般的になって普及していくのではないでしょうか。

画像: 「私たちの会社は弔いの総合商社でありたい」と熱く語る八城氏。

「私たちの会社は弔いの総合商社でありたい」と熱く語る八城氏。

葬儀業界はどのように変化していくと思いますか。

 少子高齢化が進む中で、当然ながら墓石事業は縮小していくでしょう。実際に、以前は郊外の大型霊園でお墓を購入される方が多かったのが、近年では都市近郊の自動搬送式の納骨堂を求める人が増えています。業界としては、お墓が減り、単価も削られていくことになります。とはいえ、高齢化社会ですから、葬儀自体の需要は伸びていく。止まらない低価格化の中で事業を成立させるためには、お墓や仏壇、葬儀などの専門企業が、葬儀からお墓までを扱うトータルサービス化に向けて増々進んでいくと考えています。

御社でもトータルサービスに着手しているとか。

 5年ほど前から葬儀事業をスタートしました。生前にお墓を求めるお客様は、やはり自分が亡くなった後の心配をされていることが多い。そこで、さらに安心していただくために、葬儀の事前契約をお勧めしています。価格も一律にして、例え葬儀が10年後になっても変動はしません。理解しておかなければならないのは、トータルサービスは事業を成り立たせるだけのものではなく、お客様に安心を届けるという意味でも必要なコンテンツだということです。

画像: 毎月催される合同供養祭では多くの方がお参りに訪れるという

毎月催される合同供養祭では多くの方がお参りに訪れるという

経営者として大切にしていることは?

 いずれはお墓がいらなくなるという見方も増えてくるかもしれません。とはいえ、日本人のDNAには、遺骨がそこにあるから手を合わせるという日本人ならではの風習がDNAに刷り込まれていると思うんです。
 お墓や仏壇はこちらを向いていますよね。つまり、手を合わせる相手と向かい合う場なんです。また、そんな自分を写す鏡でもあって、自分の心と向かい合う時間にもなっている。まさに故人と過ごす癒しとやすらぎの空間です。時代や価値観、形が変わっても、そんな大切な場所をお客様のニーズに合わせながら、守っていきたいと思っています。

時代の価値観に合わせてお客様に寄り添う、と。

 私はよくお客様に「僕と親せきになりませんか?」と言うんです。つまり、お客様の亡くなった後の弔いについての約束(契約)を果たす仲になるということです。この仕事をしていて実感するのが、葬儀やお墓について詳しいお客様が少なく、いざというときに慌てる方が本当に多い。だからこそ、お客様が困る前にしっかりとパートナーとしてお役に立ちたいのです。
 私の仕事は、お客様に葬儀やお墓を提供することであり、それは人生の幕が下りた後を任せていただくことでもあります。だからこそ、何でも相談していただける深い間柄になれるはずです。そうした関係性を築いた上で、企業として商品やサービスでいかにサポートできるか。そこに業界の未来があると思うんです。

画像: 霊園ではペットのお墓だけでなく、飼い主とペットが一緒に入れるお墓も提供している

霊園ではペットのお墓だけでなく、飼い主とペットが一緒に入れるお墓も提供している

プロフィール

八城 勝彦(やしろ かつひこ)

1964年、大阪府生まれ。1984年に株式会社大阪生駒メモリアルパーク(現、株式会社ヤシロ)に入社。関西最大級の民間霊園「大阪生駒霊園」で営業として従事し、5,000件以上の墓石を販売する。2004年、株式会社霊園墓石のヤシロ代表取締役社長に就任。永代供養墓「なごみ霊廟」や「樹木葬さくら」など、時代のニーズに合わせた埋葬方法を提供し、2012年からは葬儀から納骨までのワンストップサービスを展開中。


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