葬儀ビジネスは超高齢化社会の受け皿。
まだまだ発展の余地はあると信じています。

葬儀価格の完全開示や、徹底したお客様本位のサービスの提供など、業界に変革をもたらし続ける株式会社ティア代表取締役社長の冨安徳久氏。37歳で起業し、2014年に東証・名証一部上場を果たした革命児に、創業のきっかけや、これからの葬儀ビジネスの動向について話を伺った。

起業にいたった経緯を教えてください。

 葬儀業界に入ったきっかけは、知人に紹介されたアルバイトでした。社員の方が葬儀後に、ご遺族から涙ながらに「ありがとう」と感謝されている姿を見て、「人に喜ばれる仕事なんだ」と感銘を受け、一生の仕事にしようと決めました。
 その後、正式にこの業界に就職したのですが、2社目に働いた会社で、生活保護者の葬儀は引き受けないという方針が発表された。私は愕然として、「人の死がお金に左右されていいわけがない」と強く思い、それならば独立して理想の会社を作ろうと決意しました。

画像: 「葬儀ビジネスとの出合いは偶然ではなく、必然を通り越して私の天命」と話す冨安氏。

「葬儀ビジネスとの出合いは偶然ではなく、必然を通り越して私の天命」と話す冨安氏。

強い信念をもって起業されたのですね。

 私は幼少期の頃から、家族に言われ続けていたことがあります。それは、「人のために生きなさい」という教えです。それが私の生き方の根底にあります。
 死と向き合うビジネスである以上、目の前にいる故人様やご遺族に対して、金額による差別があってはならない。それにはブラックボックスだった葬儀価格をオープンにし、適正な価格でサービスを提供する必要がありました。

葬儀業界で働く中で、影響を受けた人はいますか?

 この業界へ入ったばかりの頃に学んだことが印象深いです。最初に入社した会社の先輩が言った「会社のために働くな、自分のために働け」という言葉には大きな影響を受けています。
 入社当時、とにかくご遺族の方に感謝されたい、上司から褒められたいと思っていた私に、先輩は「感謝され、褒められるためには、ご遺族のために尽くさなければいけない。それは会社のためにもなっているのだから、素直に自分のために働けばいいんだ」と、教えてくれました。
 実は、その話はお寺の住職が葬儀のときに行う法話で話していたものだと、後になって気づきました。それを先輩が私にわかりやすく伝え、教育してくれていたのだと今でも感謝しています。

画像: 15歳のときに恩師に薦められて読んだ『龍馬がゆく』(司馬遼太郎・作)も、自身にとって大きな出合いのひとつだったという。

15歳のときに恩師に薦められて読んだ『龍馬がゆく』(司馬遼太郎・作)も、自身にとって大きな出合いのひとつだったという。

経営者として大切にしていることは?

 創業から20年間、企業として成長してこられたのは、徹底して人を育ててきたからこそだと断言できます。
 経営資源としてよく言われるのが、人、モノ、金です。今は情報化社会なので、これに情報が加わり、4大資源と言われています。しかし、モノも金も情報も、すべて人が司ることなので、最大の資源は人です。これに目を向けていない企業はうまくいかないと思っています。
 人は働くことによって給料を頂き、生活をしています。つまり、得るために働いている。しかし、私は働くことは、人に与えることだと考えています。商品を通じて、サービスを通じて、誰に、どんな喜びを与えられるか。社員にはそうした働くことの意味から伝え、教育しています。

働くことの意味をどのように伝えているのでしょうか。

 すべては企業理念です。理念の元に採用し、教育し、評価する。業務内容を教えることだけが教育ではありません。死生観や生き方から教えることが大切です。
 今は企業が人を育てる時代です。育てた人材は、企業にとって何よりの特長になり、他社との差別化も生む。だから人材教育として道徳や命の教育、摂理や道理なども教えている。これを続けなければ、強い企業にはならないと私は思います。

画像: 名古屋市北区にある本社外観。現在は愛知県以外にも関東や関西に進出し、さらなる全国展開を目指している。

名古屋市北区にある本社外観。現在は愛知県以外にも関東や関西に進出し、さらなる全国展開を目指している。

今や「人生100年時代」ですが、これからの葬儀社の役割は何だと思いますか。

 世間では少子高齢化と騒がれていますが、それは随分と前から言われ続けていたことで、経営者は常に先を予測して事業を展開しなければなりません。
 これまで葬儀社は、葬儀という儀式を提供する会社という位置づけでしたが、ライフエンディングが多様化している現代では、葬儀社の役割も変わりつつある。時代に沿ってサービスの形も変化していますが、変えてはいけないこともあります。それは、先祖から受け継いだ命に感謝し、次の世代へと繋いでいくこと。そうした活動の一環として弊社で行っているのが「命の授業」です。

「命の授業」とはどのような活動でしょうか。

 小学校や中学校に出向き、命の尊さや重みとは何かを子どもたちに伝えています。これは葬儀ビジネスに携わる企業として使命のようなものだと思っています。
 また、名古屋には約4万人の独居老人がいるといわれていますが、超高齢化社会とは人口が少なくなっていく「多死社会」であり、親族とも連絡が取れず身寄りのない方も増えている。そこで弊社では葬儀の事前準備や、ライフエンディングなどの葬儀相談に関する活動にも取り組んでいます。

現代社会が抱える課題にも貢献していくべきだと。

 死は誰にとっても避けられないもの。だからこそ、葬儀ビジネスは多死社会においては社会貢献活動という側面もあると考えています。社会の受け皿として何ができるか。それを考えたとき、まだまだ業界として発展する余地はあると信じています。

プロフィール

冨安 徳久(とみやす のりひさ)

1960年、愛知県の果樹園農家の長男として生まれる。1979年、大学の入学式直前に葬儀のアルバイトと出合い、入学を取りやめ葬儀社に入社。2年半の勤務後、東海地方の葬儀社へ転職し、25歳で名古屋支店の店長に抜擢される。しかし、会社の経営方針に納得できず、起業を決意し、1994年に株式会社ティアを創業。『日本で一番「ありがとう」といわれる葬儀社』(綜合ユニコム)など、著書多数。


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