~墓場まで持っていきたい?…「終活」で女性が意外に気にしている「日記や手紙」
国内1,300社超が利用する日用品流通の情報基盤を運営する株式会社プラネット (所在地:東京都港区、代表取締役社長:田上正勝氏)は、消費財や暮らしにまつわるトピックスをお届けする『Fromプラネット』の第115号として、終活に関する意識調査の結果を紹介。
- 終活を“考えたことがある”が半数超も、60歳過ぎても“実行はまだ先”
お盆休みも近い今回は、終活を意識したことがあるかどうかや具体的に何を始めたか、さらに“デジタル終活”など「終活」についてアンケートを実施。
最初に終活について考えているか、考えたことがあるかどうか(表1)。“考えたことがある”計が50%を超えるも、そのうちの約3分の2は「考えたことはあるが具体的にイメージがわかない」。終活を意識はするものの、現実的には考えられない人が大半なよう。終活を実践・実行しているかを聞いたところ(表2)、「いずれしたいと思うが、まだ先である」が半数を占めたことにもそれが表れていた。
また男女別では、表1の“考えたことがある”計、表2の“実行した/近いうちにしたい”計ともに女性のほうが高く、女性のほうが終活に関心が強い。性年代別では年代が高いほど、終活について“考えたことがある”計が上昇。“実行した/近いうちにしたい”計も、男性で50代、女性では40代で急増しています。ただし、全性年代を通じて最も高いのは「いずれしたいと思うが、まだ先である」。特に男性では年代につれて上昇し、20代・30代よりも60代以上のほうが「まだ先」と答えている、不思議な傾向が。いざ60代を迎えると、まだまだ“若い”と感じるのかもしれない。
気になるのは男性の20代。表1の“考えたことがある”計も表2の“実行した/近いうちにしたい”計も、30代男性より高い。20代男性の“考えたことがある”計は約4割。人生の終焉を意識するには早すぎる気がするが、親や祖父母世代の影響かもしれない。あるいは最近、メディアやSNSで病気を告白したり闘病の様子を発信したりする人もいるので、そうした著名人の影響もありそうだ。
- 若いうちはメディアの影響、年代とともに加齢が影響
次に、終活をしている人または今後したいと思う人に終活を始めた、あるいはしたいと思ったきっかけを調査。最も多かったのは「テレビや新聞・雑誌などで見聞きして」、次いで「加齢、心身の衰えを自覚して」。ただし、年代別では順位が変わった。
20代・30代の2位は「配偶者や家族と将来のことを相談して」。それが40代では「加齢、心身の衰え~」が2位に。さらに、50代では「テレビや新聞・雑誌~」と「加齢、心身の衰え~」は同率1位で並び、3位に「親・兄弟姉妹や配偶者など身近な人が亡くなったので」が入った。60代以上になると「加齢、心身の衰え~」が「テレビや新聞・雑誌~」を逆転しトップ。若いうちは遠い将来の備えと思っていたのが、加齢に伴い、心身の衰えを感じたり身近な人と死別したりして、自分自身の問題という実感がわいてくるようだ。
- 終活で始めたこと、したいこと…資産・暗証番号のリスト化を上回る1位は?
今度は終活として、実際に始めたことやしたいと思っていることを調査。圧倒的1位だったのが「身の回りの持ち物の整理・処分」。断捨離がブームになったことも影響していそうだ。2位、3位には「金融取引や資産状況のリスト化」「銀行口座・クレジットカード暗証番号のリスト化」と、金融資産に関する項目が続く。やはり、お金のことは大事。続く4位に「(PC・スマホなど)デジタルデータの整理」が入っていることにも注目。「お墓や供養の仕方の準備」より高いのが興味深い。男女別では、ほとんどの項目で女性が男性を上回り、中でも男女差が大きかったのが「日記や手紙などの整理・処分」。女性では「お墓や供養の仕方の準備」を抑え、5位にランクイン。女性はそれだけ他人に知られたくない秘密や本心を日記や私信に書いているのかも…。
- スマホ・PCは個人情報のかたまり…死後はデータも一緒に消えてほしい
現代人にとって切っても切れないツールのパソコン(PC)・スマートフォン(スマホ)やインターネット。前の調査結果でも具体的な終活の4位に「(PC・スマホなど)デジタルデータの整理」が入りました。そこでここからは、スマホやパソコンに関わる“デジタル終活”についてまとめた。
まずは、自分の死後、スマホやパソコンがどうなるか気になるかを調査(表5)。「気になる」が4割を超え、自分の死後、スマホやパソコンをどうしてほしいかを聞くと(表6)、「中を見ずにデータ消去、または処分してほしい」が半数を超えた。「とりあえず中を確認してほしい」や「処分せず、引き継いでほしい」を大きく上回った。自分の存在が消えると同時に、スマホやパソコンのデータも消えてほしい…今やスマホやパソコンが自分自身と同化していることの表れなのかもしれません。
そこで、実際に自分の死後に備えてデジタルデータを整理しているかを聞くと(表7)、「特に何もしていない・答えたくない」が圧倒的多数。死んだ後のデジタルデータがどうなるのか気になるものの、具体的に対策をしていない人が多いようだ。だからこそ、“中を見ずに処分”してほしい人が多いとも考えられる。
表7の具体的な項目で最も高かったのは「ファイルやフォルダをわかりやすく整理する」、次いで「見られてもいいデータと見られたくないデータを整理する」。表5の「気になる」、表6の「中を見ずにデータ消去、または処分してほしい」、表7の「見られてもいいデータと見られたくないデータを整理する」はいずれも女性が男性を上回った。女性のほうが“個人情報”に敏感なことをここでも示しているようだ。
- スマホ・PCの“中を見ずに処分”してほしいのは配偶者のいる人?いない人?
デジタルデータに関する調査結果(表5・表6)を属性別に調べたところ、配偶者の有無別で違いがあった。配偶者のいる人では、自分の死後のデジタルデータが「気になる」と「気にならない」は同程度。しかし、配偶者のいない人では、「気になる」は「気にならない」より21ポイントも高かった。また自分の死後スマホやパソコンを“中を見ずに処分”してほしい人も、配偶者のいない人では6割近く。一方、配偶者のいる人では4人に1人が“中を確認”してほしいと答えていた。一口に配偶者がいないといっても未婚や離婚・死別と事情は人それぞれ。一概に背景は語れないが、考えさせられる結果。さらに、デジタルデータで気になることや、終活について思うことを自由に答えてもらいました。やはり“個人情報”を見られたくない人が多いと同時に、残される人に「迷惑がかからない」ようにしたいという声も目立ちました。しかし中には、終活よりも生きている「今を大切にするべき」という回答も。
● 人に見られると恥ずかしいデータもあるので、消してほしい。でも、写真だけは他の人の思い出にもなるので見てもらってもいいと思う。(女性・20代) ● 子どもの写真や動画がたくさんあるので、大事に残してほしい。(女性・30代) ● プライベートはもちろん、会社員としても、パスワードやIDをリスト化し、誰にも引き継ぐことなく自身が死亡しても迷惑がかからない体制を構築したい。(女性・20代) ● パソコンのパスワードほか、使用している接続先のアカウント関連情報を残し、遺族が困らないようにしたい。(男性・60代以上) ● 3.11震災を体験し、遺言状を残そうねと夫と相談し、実行した。夫が逝去した際、不動産相続にあたりその遺言状が大変役に立った。お金はかかったが、公正証書にしておいて、本当によかった。何をするにも、まるで黄門様の“葵の紋章”のようだった。(女性・60代以上) ● 死んでしまったらどうなってもいいのであまり気にしていない。(男性・50代) ● 財産整理の取り決めや葬儀など一般的なことは決めておきたいと思いますが、「終活」はあまりやりたくないと思っています。生前に死ぬ準備を数多くやるより今を大切にするべきだと思うからです。(男性・40代) |
調査機関:インターワイヤード株式会社による、「終活」に関する意識調査。
期間:2019年6月28日~7月5日、インターネットで1,098人から回答を取得。