画像: ライフアンドデザイン・グループ株式会社 マーケティング推進室 室長 石井寛彦

ライフアンドデザイン・グループ株式会社 マーケティング推進室 室長 石井寛彦

新規出店には、さまざまな不安がつきもの。どこに出せば確実に件数が見込める?物件下見のポイントは?周辺にお住まいの方々の理解を得る方法は?など検討事項はどんどん増すばかり。

そこで、ライフアンドデザイン・グループ(以下、L &Dグループ)で葬儀子会社3社の出店戦略を一手に引き受けるマーケティング推進室室長の石井に、新規出店を失敗なくすすめる秘訣を聞いた。

新規出店が事業成長の一番の柱

━━出店戦略担当とは、具体的にどのようなことをされるのでしょうか?

出店する用地の選定から始まり、オーナーさんとの交渉、事業計画策定などを行います。

出店することが決まったら、契約締結、行政への届出、設計事務所とホールデザインの検討、必要に応じて近隣住民への説明会や折衝、オープン前後のプロモーションも私の担当です。

つまり出店にまつわる全ての業務を推進する役割ですね。

━━葬儀社が今、新規出店することの効用とは?

葬祭ホールの存在自体が認知力向上につながります。さらにドミナント戦略を取ることで経営効率化が図れる点も見逃せません。実際、当グループでは出店が加速しはじめた2017年後半から、出店数に比例するように葬儀の受注件数も伸びてきています。

画像: ※もちろん、売上増加には出店以外の要因も含まれている

※もちろん、売上増加には出店以外の要因も含まれている

この場所に出店するかしないか、
どうやって決める?

━━出店戦略を進めるには、まずは社内で基準を決めることが大切だと聞いたことがあります。それは、なぜでしょうか?

出店が件数アップにつながるといっても、やみくもに出店するのでは建設投資を回収できなかったり、運営コストが利益を圧迫したりしかねません。

また、このエリアに出店したいと思ったときに、すぐにそのエリアで適切な場所を見つけられないことも多い。私も過去に、とあるエリアで1つもオープンできなかった年がありました。それを防ぐためには、出店基準を明確にしたうえで物件情報を収集する網をできる限り広げ、良い物件が見つかったらスピーディに決断して着工できる体制づくりは必須です。

候補物件が見つかってから検討していたのでは遅いんです。

━━では、どういったことを決めておけばよいのでしょうか?

以下の4つのポイントがあります。

①採算が取れるかどうか。

例えば、弊社子会社のひとつ、洛王セレモニー株式会社(以下、洛王セレモニー)の場合は、5年以内に投資額を回収できる計画であること。そして、ホール単体で見たときの初年度の税引き後利益が黒字になる見込みがあることが、そこに出店するかどうかの最低基準です。

この条件を満たせないのであれば、採算が取れないとして出店を見送ります。

将来の売上・利益を正確に見込むためには、当該ホールのターゲットとするエリアの総人口、年代別人口、死亡率などのデータを収集し、年間獲得件数を見積もり、必要経費を組み込んだ損益計算書・キャッシュフロー計算書を作成します。

過去に出店したホールで、1~2年目の業績が芳しくなかったのに今は大化けというところもあります。これもデータをしっかり取って、将来を見据えた投資ができているからこその成果だと思います。

②ホールの大きさ・仕様はどうするのか。

洛王セレモニーの場合は、参列者30〜40人程度のコンパクトな家族葬の施行が主ですから、建屋35〜60坪、木造平屋建てを基本としています。もちろん、これが正解とは限りません。各社のブランディング、財務状況などさまざまな要素を踏まえて決めていただくのが良いでしょう。

くれぐれも、出店候補地の環境その他の外的要因によって、都度、そのホールのスタイルを決めたりすることのないようご留意ください。あるホールはコンビニ改装のシンプルなタイプ、次のホールはラグジュアリーな邸宅風、などホールごとにバラバラのコンセプトでつくってしまうのは、ドミナント戦略を取る場合、効率がよくありません。

こういった基準は、状況に応じて見直していくことも大切です。L&Dグループも、以前は建築コスト削減の観点から居抜き物件に限定していましたが、出店数が増えてくるとそうも言ってられなくなり、新築でも許容する方向に方針を転換しました。多少、出店時のコストは増えますが、きちんと回収する見込みが立つのであれば問題ないのです。

③土地建物を所有するのか。

出店する際には、その土地を借りて建物を自社で新築する、オーナーに建ててもらって自社が借りる、土地建物両方借りて、改装のみ自社で行う(いわゆる、テナントの居抜き案件)など、さまざまな選択肢があります。自社の財務状況や地域性も踏まえて方針を決めておくのが望ましいでしょう。

④どのエリアを、どう攻めるか

一番大事なのは、自社がどういう戦略・思想をもって出店を進めるのか、ということです。少なくとも、既存会館との距離や導線は意識しましょう。また、エリアを「面」で攻める意識も持っていたほうが良いと思います。すなわち、ドミナント戦略を取るということですね。

ドミナント戦略って有効なの?

━━今さら聞きづらいのですが、“ドミナント”って何のことですか?

ドミナント(dominant)とは、“支配的な”という意味です。ドミナント戦略とは、チェーンストアが攻略したいエリアを決め、集中して出店することでエリア内での支配的・優勢的な地位を獲得しようとする戦略です。

━━ドミナント戦略を取るとどういうメリットがあるのでしょうか。

まず、認知度の向上です。近くに複数のホールがあれば、通りかかるたびにブランドや会社の名前が入った看板を何度も見かけることになります。また、下記の事例のように、ひとつの商圏で3つの会館の広告をまとめて発信することもできる。つまり同じコストをかけたときの費用対効果が格段に上がります。

画像: ドミナント展開すれば、あるエリアにおいて同じ配布枚数で複数ホールの宣伝が可能。つまり費用対効果が格段に良いということ

ドミナント展開すれば、あるエリアにおいて同じ配布枚数で複数ホールの宣伝が可能。つまり費用対効果が格段に良いということ

結果として、ホール看板やチラシを見かける頻度が高まるため、周辺エリアでの認知度・知名度が高まり、いざというときに思い出してもらえやすい状態をつくることができます。

また、あるホールでの施行依頼が、同じ日時で重複したときでも、すぐ近くの別のホールをご紹介できるためチャンスロスの低減にもつながります。

さらに、搬送や人員配置においても各ホールの距離が近ければ対処しやすくコストが削減できますよね。

━━当然、デメリットもありますよね。

ホール間の距離があまり近すぎるとカニバリゼーションを起こしてしまいます。3キロ位は離すのが基本ですが、大きな河川や、行政区によってもお客さまの行動は変わってきますので注意が必要です。

━━出店の戦略と、実際に出店するか否かを意思決定するための基準をしっかり詰めておくことが大切なのですね。

出店場所選びについては、以上のようなポイントがあります。ただ、実際に進めていくにあたっては、どうやって物件情報を探すか、商圏調査は具体的にどうするのか、などのテクニックの習得も必要です。さらに、各エリアでの個別の行政ルールへの対応や、周辺にお住まいの方々との折衝なども発生してきます。

━━まだまだ、知っておくべきことはたくさんあるのですね……

それらについては、今後、当サイトでも順を追ってお伝えしていきたいと思っています。いずれにしても出店担当として成長するには、リアルの場所で経験を積んでいくのが一番です。私も、これまで40ホール近くの出店開発を担当してきたからこそ、さまざまな状況を事前に予測し、対応できるようになりました。現時点で、途中解約・撤退が1件もないのがちょっと自慢だったりします(笑)

フューネラルアカデミーでは、他にもたくさんある手順や手法などもお伝えし、事業計画書を実際に作ってみていただこうと思っています。ぜひ、ご参加をお待ちしております。


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