画像: (写真右)株式会社鎌倉新書 ライフエンディング事業4部 部長 太田智志氏 (写真左)同 新サービス開発部 兼 相続事業部 ビジネスグループ 井野貴亮氏

(写真右)株式会社鎌倉新書 ライフエンディング事業4部 部長 太田智志氏
(写真左)同 新サービス開発部 兼 相続事業部 ビジネスグループ 井野貴亮氏

株式会社鎌倉新書が2015年より提供を開始した「お別れ会プロデュース Story(以下、Story)」。まだニッチではあるものの、故人らしい形で見送りたいという方から高い評価を受けているという。

ライフエンディングのポータルサイトとして「葬儀・供養の事業者とユーザーをつなぐ」ことを主業としてきた同社が、なぜ自ら、ユーザー向けのサービスを始めたのか。事業化までの道程と今後のもくろみについて、事業立ち上げを主導された井野さん(現在は別部署で活躍中)と、今まさにStory事業の推進を担う太田さんのお二人に話を伺った。

お客さまが求めている。
これは僕らでやるしかないな、と

━━ Storyとは、どのようなサービスですか?

井野:私たちは、葬儀の「後」にやる偲ぶ会のことだと考えています。葬儀との違いは、準備期間がしっかり取れること、それから火葬がないので当日のスケジュールにも余裕が持ちやすいことでしょうか。時間に縛られず、ゆっくり故人とお別れを告げたり、感謝の言葉を伝える時間が持てることが最大の魅力だと思います。

━━御社が、この事業を始められたのにはどういったきっかけがあったのでしょうか?

井野:弊社では、「いい葬儀」、「いい仏壇」、「いいお墓」など各サービスを合わせると年間20万件弱のご相談を受けています。その中で、葬儀は葬儀でやるけれども、その後に親しい人を呼んでお別れ会をあげたいんだよね、というようなご希望とかご相談はときどきあったんですね。

ただ、当時はお客さまの要望されるようなサービスを提供されている会社さんがいらっしゃらなくて。私たちは、ご相談を受けたお客さまに最適な先を紹介するという使命を持っていますので、じゃあ、これは僕らでやるしかないな、というので始めたのがきっかけです。

最初に、Story事業の立ち上げを担当したのは井野さん。社内でこの話が持ち上がったとき、自ら、やりたいと手を挙げたのだという。彼は、5年前にエンジニアとして鎌倉新書に入社し、その後はwebディレクターとしてKPIを追いかける、そういったことをずっと担当してきた。

画像: お客さまが求めている。 これは僕らでやるしかないな、と

━━それが突然、新規事業をやりたいと。

井野:もともと、入社を希望した理由が、鎌倉新書なら新規事業、お客さまと直接関われるような事業ができる可能性があるという点だったので、そういう話があると聞いて、「あ、僕やります」って。

初めは手探りで、近しいサービスをされている葬儀社さんに話を聞きにいったり、結婚情報誌を見てヒントを得たり。自分の親族が亡くなったときの思いとか、そういう自分の体験も含めて作り上げていった感じですね。

人と人が、故人を介して
新たにつながるのがStoryの魅力

━━どういった方がお別れ会を開きたいと思われるのでしょうか?

太田:それが、年代も性別も本当にまちまちなんです。60代、70代の方が親御さんのために、というのが一番多いですが、最近は若い方からのご依頼も増えてきています。故人のご親族だけでなく、友人関係、会社関係とか、故人との関係性もまちまちですね。

余命宣告を受けられたご本人がお別れ会をしたいと、ご友人に相談され、その友人が幹事となって開催されたこともあります。ご存命の間に病室に伺ったりしながら一緒に準備して。

━━形式としては、どういうものが多いのですか。

太田:それも、まちまちで・・・まちまち、としか言ってないですね(笑)。でもいろいろなパターンがあって、私たちも傾向がつかみにくいんです。強いて言えば、いわゆる「社葬」のようなタイプよりは、パーティ形式のものが多い印象です。

DJブースを使ったり、思い出の地をめぐるバスツアーを企画したりもしました。食事をつけないケースもあるし、豪華な祭壇を設置することもあります。人数も30人くらいのときもあれば、300人くらい集まったり。

━━本当にいろんなパターンがあるのですね。

太田:そうですね。ただ、依頼される段階では、お客さまも、どういったことがしたいか、どういったものができるのか、ほとんどわからない状態でお問い合わせしてこられることが多いです。「立食でみんなでわいわいと」とか「無宗教で湿っぽくなくやりたい」とか。あまり明確に決まっていらっしゃる方は少ないですね。

画像: 手の出演は、広報の古屋さん。彼女自身も入社後1年ほどStory事業部でアシスタントプロデューサーを経験したそう

手の出演は、広報の古屋さん。彼女自身も入社後1年ほどStory事業部でアシスタントプロデューサーを経験したそう

━━お別れ会は、まだそれほど一般的ではないためにイメージしにくいのかも知れませんね。お問い合わせから、どのように形にしていくのでしょうか。

井野:葬儀と同じで、お客さまのお話をとことん聞くってところが一番重要ですね。お客さまが何を望んでいるかを引き出した結果が、そのまま企画になるという感じでしょうか。

例えば、ご主人が亡くなって、奥様がお別れ会をされたい場合、お二人の出会いから、ご主人と生前関係のあった方々のこと、ご主人の性格など多方面から質問して、だんだんコンセプトが決まってきます。

そういう意味では、結婚式の準備と似ているかも知れませんね。結婚式もお二人の話を聞いて、ウェディングプランナーと、こんなコンセプトで、こういう会場で、と決めていくのと同じように、遺族の方と一緒に話しながら進めます。

━━公式サイトで事例を拝見したときに安曇野のガーデンパーティや、野球監督の方のお別れ会などが印象的でした。

井野:あの2件は、こちらから「こういうものをやりましょう」と提案したというよりは、お客さまの方でやりたいことをある程度イメージとしてお持ちだったのを、私たちがお手伝いしたような感じですね。

野球がテーマのお別れ会は、野球に対してものすごく強い思いをお持ちの方だったから、一般的な野球コンセプトのパーティとかだと「普通っぽい」って怒られそうな気がしたんです。故人さまに。

きっと故人もお別れ会の場に来ていらっしゃると思っているので、遺族の方だけじゃなくて故人にも「いい感じで集まって盛り上がってるなぁ」と思ってもらえるような心がけをしています。

━━ Storyが提供するお別れ会のいちばん良いところって何でしょう?

太田:お客さまからは、故人の知らなかった交友関係を知れて、その方たちとお話しすることで悲しみや、気持ちが整理できて良かったです、といった感想を多くいただくんです。

考えてみると、自分を取り巻く人々が一同に会する機会って結婚式以来、なかなかないんですよね。会社の同僚と、趣味の集まりの友人たちとが故人を介してつながって、また新しいご縁ができていくような、そういう会にできれば良いなと思っています。

画像: 人と人が、故人を介して 新たにつながるのがStoryの魅力

お別れ会が、お見送りの
選択肢のひとつになるように

━━ Storyの今後の課題や展望は?

太田:認知がなかなか進んでいないことが一番の課題ですね。今は、お客さまが能動的にStory公式サイトを探し出して依頼されることが多いんです。

芸能人がやったお別れ会がメディアで紹介されたりすることで、少しずつ広まってきてはいますが、一般の人もやるもの、というふうに思ってはもらえていない。だから、地道に広げていくのが先だと考えています。例えば、1つのお別れ会に100人の方が参加して良い体験だと思ってもらえたら、その100人から口コミで広がるといったような形で。

あとは、弊社のポータルサイトを通じて終活のご相談をいただくユーザーさまにも、こういうものもありますよ、とお伝えしてみるとか。

いずれは、人が亡くなったときのお見送りの方法として、お別れ会が自然に選択肢のひとつとして上がってくるようにしていきたいですね。

画像: お別れ会が、お見送りの 選択肢のひとつになるように

▼「お別れ会プロデュースStory」公式サイト
https://e-stories.jp/


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