コールセンターは
当社の競争力の源泉

━━以前、別のインタビューで、御社と類似した事業モデルの企業群の中での強みについて問われた際に、八田さんは自社のコールセンター機能の強さについて言及されています。そのあたりについてもう少し具体的にご説明いただけますか。

 コールセンターは、顧客の問い合わせやちょっとした手続きの対応のための窓口として設置・運用されることも多いので、ともすれば後方支援的な役割を担う部署として捉え、オペレーターの役割を過小評価している企業が多いように思います。

画像: 約100名のオペレーターが、ユニクエストのサービスを支える

約100名のオペレーターが、ユニクエストのサービスを支える

 現時点で当社には、202名(内非正規雇用46名)の人材がいて、その内ちょうど5割にあたる101名がオペレーターの仕事に従事しています。オペレーターの仕事は━━問合せの電話を受ける、契約をとる(確定させる)、施行を依頼する葬儀社さんとさまざまな調整を行う、僧侶を手配する、施行後の評価やご意見を承る━━など多岐に渡ります。

 また、当社でもさまざまなKPI(業績指標)を設定している中で、最も重視しているのがコールセンターの決定率です。通常時は80%程度ですが、この数値が下がると何があったのかと社内が大騒ぎになって(笑)……早急に原因を究明し、対策を講じます。

 もちろんWebサイトの運営や管理業務など、他の仕事も当社に不可欠だからこそ、それらを担当する部門があり人材がいるわけですが、オペレーターの人たちにいかにモチベーション高く仕事をしてもらえるような環境を整えるかが、当社の競争力を決定的に左右すると考えています。それゆえ、この部分については完全に内製化しています。

━━企業によっては、プロフィットセンターではなく、コストセンターであるかのような捉え方をされているのかもしれませんね。いかに最適化してコスト低減を図るか……みたいに。

 私も他社さんの状況を詳しくは知らないのですが……おそらく一定規模以上の企業さんで、一切外注していないというところはほとんどないんじゃないかと思います。我々としてはほんの一部であったとしても、この肝心要の業務を外部に依頼することは考えられません。

━━表現が適切かどうかわかりませんが、ユニクエストさんからすれば、自動車メーカーが新車開発を外部に委託するようなものなのでしょうね。自社の人材だからこそ、しっかりとした教育もできるし、臨機応変な対応、細かい軌道修正なども可能になる。まさに競争力の源泉ですね。

 そういえると思います。内製化しているからこその、きめ細やかなノウハウが何年分も蓄積できていることが当社の強みだと考えています。

画像2: トップインタビューvol.11 株式会社ユニクエスト 取締役 八田知巳氏

━━それだけ重要視されているとすると、経営サイドとしては、成果に応じたインセンティブを手厚くするとか、給与や処遇の面で工夫されているのでしょうか。

 多少は成果に応じて支給する部分はありますが、割合としてはごく一部です。ある受注について、それまでの各メンバーの貢献度を必ずしも正確に測定できるとは限りませんから。最初に担当したメンバーが気持ちよい応対をしたことでお客さまの信頼を得て、次の電話で受注が決まるということもあります。

 センスという言葉が適切かどうかわかりませんが、独特の嗅覚でお客さまが口にされていないニーズを察知しながら受注を決める点取り屋も必要ですし、一件の葬儀を施行するのに必要な手配事項について、葬儀社さんを始め多くの関係者に、漏れなく手際よく調整していくディフェンダーも欠かせません。やはりトータルで成果を高めるにはチームプレーが重要なんです。

 給与面でも、電話オペレーターという職種で、関西圏でみれば平均より1割くらい高く設定しています。社員の皆の頑張りや貢献に報いたいという思いとともに、応募や定着においてそれが有利に働くとの期待もあります。

 首都圏の相場よりも安く、高いレベルの人材を数多く確保できるという意味で、大阪地盤の「地の利」も大いにあると思います。もし我々のコールセンターが東京にあったとしたら、今頃はオペレーター人材の確保に苦労していたかも知れません。

━━今後はどうなんでしょう。成長に合わせた増員が必要かと思いますが。

 実は、2020年度を目途に、別の場所にコールセンターを立ち上げようと計画しています。実現すればオペレーターの安定的な確保にも寄与すると思います。

 ただそれは、主従でいえば従たる理由であって、主な目的はリスクヘッジです。関西に大きな被害をもたらした2018年9月の台風21号の際、当社でも出社がままならない社員が数多くいました。でも日本全国を相手にビジネスを展開しているわけですから、そんな時でも葬儀は待ってくれません。こうした事態に直面しても事業の中断を回避する必要があり、そのための有効な施策として進めています。

働きやすく能力を発揮できる
就業環境を創る

━━給料(金銭報酬)だけでなく、就業環境など幅広い意味での処遇の向上にも取り組まれていますね。同じビルの中に保育園まで作る徹底ぶりには驚かされました(笑)

 保育園設置について、動き出す直接的なきっかけになったのは、ある役員のお子さんが2年連続して保育園に落ちたことでした。当社は社員の約6割を女性が占めており、保育園を作って欲しいという要望は以前からあったため、2019年3月に企業型保育園を開園しました。

 それ以外にも、趣味やスポーツを通じて、多様な年代・職種の社員たちの交流を促進するための社内部活動制度があります。一定の条件を満たして「部」として認められると、会社から3千円/人・回の補助が受けられるもので、ヨガ部、音楽研究部、フットサル部など10を超える部が活動しています。

 あと長年続けているのは社員旅行ですね。2019年は、城崎温泉・北海道・海外と行き先別に3グループに分けて、葬儀需要の落ち着いている時期に実施しました。

 新たな制度や仕組みを考えるのも意味がありますが、既存のものを有効に機能させるのも重要だと思います。例えばどこの会社にも有給休暇が設けられていますが、実際には取得しづらかったり、取得を妨げる風土があったりします。

 当社では有給休暇の取得率がほぼ100%です。これについては常日頃から社長の重野自身が「これは社員の皆が持っている当然の権利だからしっかり行使して下さい」という姿勢であることが大きいと思います。


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