「長崎ワイン」生産へ メモリードが農園構想 クロアチアに学生派遣、ノウハウ学ぶ

 冠婚葬祭やホテル、飲食事業を展開するメモリードグループ(総合本部・長崎県西彼長与町)の吉田茂視社長は、長崎市内で本格的なブドウ栽培とワイン製造に取り組み、「長崎ワイン」として展開する構想を明らかにした。早ければ来年にも農園整備に着手し、その後にワインを醸造するワイナリーを設ける考え。実現すれば県内では同グループが五島市で運営する「五島ワイナリー」に続いて2カ所目となる。
 長崎ワインは、吉田社長が会長を務める長崎クロアチア友好協会のつながりを生かし、伝統的にワイン作りが盛んなクロアチアのノウハウを取り入れる。農園の整備場所は調整中だが、「ワイン学」を専門とするクロアチア・ザグレブ大の教授が長崎市内を視察し、「栽培可能」というお墨付きを得ている場所があるという。メモリードではすでに苗木をクロアチアから仕入れ、神戸港で検疫を受けているという。
 事業化に向けて、年間3万本を製造している五島ワイナリーの経験と技術を活用。それに加え、県内の大学生がアイデアを出しながら県内企業の新規事業などに携わる「長崎ブレークスループロジェクト」と連携する。メモリードが同友好協会を通じて学生の留学費用を提供し、今月から来年3月まで長崎大の水産学部、環境科学部の学生各1人をザグレブ大に派遣する。
 ザグレブ大ではブドウ栽培やワイン製造に特化した専門カリキュラムが用意されており、長崎市内を視察した教授が学生を指導する。吉田社長は来年春以降もクロアチアへの留学を継続し、ワインのノウハウを取り込みながら長崎とクロアチアの交流も深めたい考え。留学に参加した学生の雇用にも前向きだ。
 吉田社長は「かつて出島からヨーロッパの文化が日本に伝わり、その中にワインもあったはず。『長崎ワイン』は観光客にも喜ばれる」と強調。「クロアチアワインは安くておいしく、魅力的。やる気のある学生を仲間に入れて事業を進めたい」と話している。

長崎大の学生2人がブドウ栽培やワイン製造を学ぶクロアチアのブドウ畑(メモリードグループ提供)

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